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【特別公開】デザイナーリレーエッセイ:ちどりの足あと 

前へ行くための靴

堀畑裕之

靴ほど、つまらないアイテムはない。
かつてそう思っていた。だって世の中の靴なんて、デパートや専門店に行っても、ほとんど決まりきった形ばかりだから。

スニーカー、ローファー、ウイングチップ、パンプス、ハイヒール…色や素材はちがっても、アイテムの基本はそんなに違わない。

靴の本当の面白さに目覚めたのは、学生時代にギャルソンやヨウジのアヴァンギャルドな靴に出会った時だろう。そしてもう一つ。文化服装学院の2年生の時に、掲示板に「靴のデザインコンテスト」の張り紙を見た時だ。服のコンテストはたくさんあるけれど、靴のは初めてだった。しかもデザイン優秀者には、プロの靴職人が実物にしてくれると書いてある! なんて素敵な副賞だろう! 「こんな靴が、ほんとにあればいいな!」とワクワクしながらデザイン画を送った。靴の構造も、製法も当時全く知らなかったけれど。

生まれて初めて描いた靴のデザイン画が、なんといきなり優秀賞を取った。そして靴職人が制作してくれることになった。しかし、作ってくれたのは大阪の職人で、東京にいた僕には一度も打ち合わせする機会はなかった。後日出来上がった靴を見に、大阪の受賞会場に行った。僕はそこで床に崩れ落ちるくらいショックを受けた。デザイン画をまったく無視した、無残な仕上がりだったから。その悲しい靴の横に、僕の名前が書かれていた。

いまから思えば、靴のことをなんにも知らずに描いたデザイン画なんて、上手く仕上がるはずはない。この時、デザイン画は物づくりの始まりに過ぎず、本当に大事なのは、直接打ち合わせを重ね完成度を上げていくことなのだと、身をもって学んだ。

 

 

さてmatohuを始めて以来、じつに60足以上の靴をデザインしてきた。みなさんは僕を「服のデザイナー」だと思っていらっしゃるだろうが、「靴のデザイナー」としてのキャリアも同じだけ長い。そして靴というアイテムをどれだけ面白くデザインするか、15年間チャレンジしてきた。

 

 

一番大事にしているのは、「フィニッシュ」だ。職人さんと話し込み、最後まで手直しする。ちょっとした角度や切り替え位置、ステッチの幅、履き心地。細かいところまで、かなりしつこく修正する。「フィニッシュ」こそが、靴の良し悪しを左右するといっても過言ではない。靴コンテストでの失敗は、現在の仕事にしっかり生きている。

 

 

靴は、どうしても服の脇役になりがちな存在だ。しかし僕は服をデザインする前に、まず靴からスタートする。コレクションテーマに合わせて、靴の形を先にイメージする。すると、その上に乗る服が自然に見えてくる。

人が道を行く時、ドレスやスカートよりも前へ歩むのは、靴だ。むしろ靴の方が服を率いて、その人のスタイルを作りだしているのかもしれない。

だからほんとは、靴ほど面白いアイテムはない!

 


 

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靴をまとう − 33 Shoes Design Exhibition 開催中!!

〜3月13日(土)

matohu表参道本店
11:00~19:00
※営業は13日まで。新店舗はあらためてお知らせします。

TEL:03-6805-1597
Mail:matohu-shop@lewsten.com

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DESIGNART 2018 に参加します!

 

デザインとアートの祭典「デザイナート」に初参加。糸と布を使って刺繍のように絵を描くアーティスト松岡 亮氏が表参道本店で展覧会をします。世界に1着だけのコラボ長着も発表します!
また表参道のスパイラルでのアートフェア「蒐集衆商」にもセレクターとして同時出展。東京の秋のアートシーンを盛り上げます。

 

期間:2019年10月19日(金)〜28日(日)matohu表参道本店

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