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期間限定公開:matohu デザイナー リレー・エッセイ Vol.17 早春点描

 

matohuでは、メールマガジン会員様へ、デザイナーリレーエッセイ”ちどりの足あと”を、不定期で配信しております。
デザイナーがコレクションに込めた思いや、毎日の出来事などに触れた特別なエッセイ。
matohu official HPで、8月16日(火)まで限定公開いたします。

 

最新号はメールマガジンで配信致しますので、ぜひご登録ください。

 

ご登録は、こちらのご来店フォームより承ります。

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早春点描

matohu 関口真希子

 

 

まだ淡い朝の光がかすかにカーテンを揺らす。
そっと腕を伸ばして今日の寒さを確かめる。
いつもひんやり出はじめの氷水で顔を洗う勇気がでない。
Tシャツを重ね着して、上着のファスナーを首まであげる。ランニングシューズに足を入れ、思い切って扉を開ける。
風は刺すように冷たい。いつもの快晴。
ほの明るい窓の外には、ちゃんと朝が来ている。
路地の飛び石を踏んで道にでる。
向かいの大きな空き地の霜柱の高さを確かめる。ひと足先にいつも誰かの足あと。

 

 

ゆっくりと走り出す。
小さな緑地に降り積もった落ち葉が風もなくカサカサ鳴っている。小鳥の気配、そっと通り過ぎる。
住宅街の迷路を楽しんで、開けた並木道にでる。しばしここでストレッチ。
青い空、ポプラの星形オーナメントが忘れられたようにポツポツ下がっている。

 

 

吹き抜ける風に、かすかな薫り。向こうの塀越しに咲き初めの白梅が枝を差し向けている。
瞼を閉じたくなるくらいの陽光。
その明るさが日々強まっていく。
花を咲かせるエネルギーを集めて、桜の枝々もぼんやりピンク色に煙っている。
四季の中で冬ばかり長いように錯覚していた。春は雪が降るような寒さの中にも、静かに始まっている。
かつて東欧出身の同僚が、東京の雲ひとつない早春の空に毎朝目を輝かせていたのがずっと印象に残っている

 

 

 

 

毎日はよそ見などする間もなく慌ただしく過ぎて行く。

そしていつの間にか季節は廻っている。

けれども永遠ではない、この日常をいとおしむ。

いまは、只ただすべての人々の無事と平安を心より祈りながら。

 


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