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期間限定公開:matohu デザイナー リレー・エッセイ Vol.16 仁義ある戦い

 

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デザイナーがコレクションに込めた思いや、毎日の出来事などに触れた特別なエッセイ。
matohu official HPで、8月16日(火)まで限定公開いたします。

 

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仁義ある戦い

matohu 堀畑裕之

 

今年の夏、栃木県の足利市に何度も足を運んだ。そこでよく訪れたのが史跡「足利学校」だった。フランシスコ・ザビエルが「日本国中最も大きく、最も有名な坂東の学校」と手紙に書いたそうで、当時学徒は3ooo人を超えたという。「学校」と彫られた美しい門は、1668年の創建。「学校」って、わかりやすくてイイね(笑)

 

 

教科書は『論語』や『四書五経』などの漢学中心だった。ヨーロッパではラテン語で聖書や哲学を学んだように、当時アジア諸国では、漢語で共通の思想を学んでいたのだ。この足利学校は明治の学校制で廃校になり、いまは日本遺産として親しまれている。

 

受付で一冊の薄い本を買った。小学生でもわかるように書かれた『論語』の抜粋だった。孔子が25oo年前に語ったことをまとめたものだ。「子曰く…」で始まる漢文で、国語の教科書で読んだのが懐かしく、あらためて読んでみようと手にとった。
さて、『論語』には一番大切なコンセプトがあると解説されていた。それが「仁」だ。
「仁」? みなさんどういう意味かすぐ答えられますか? 良く聞く言葉だけど、思い出すのはあの映画「仁義なき戦い」くらい。ちなみに任侠映画の世界では「仁義を切る」とは、「おひかえなすって!私生まれはどこそこで…」の口上のこと。もちろん、それとは全然違います!
「仁」とは、人間愛という意味だそう。そして孔子が一番大切にしたのがこの仁=人間愛だった。孔子がヒューマニストだったなんて知らなかった。だってやたらと「君子(道徳的に立派な人)」のことばかり言ってる、厳しい人だと思っていたから。

 

いまNHKの大河ドラマ『青空を衝け』で主役の渋沢栄一が話題だ。明治の資本主義の勃興期に、渋沢は「経済」とはみんなで豊かなることだと考えた。自分だけが富を独占して大金持ちになる欲望に惑わされなかったのは、この『論語』のおかげだったと『論語と算盤』という著作で書いている。そして貧しい境遇の人々や子供を助ける「養育院」に出資し、赤十字の病院設立に関わった。また男尊女卑の時代に、女性が教育を受けられる女学校も作った。ちなみに私の母校の同志社大学も、設立基金で渋沢にずいぶん助けられたそうだ。
渋沢が『論語』から受け取った大切なもの、それは「仁」の精神だった。それは道徳的な人しかできないことだろうか? いや、孔子は「子供が井戸に落ちそうな時に、とっさに助けにいくこと、それこそ仁だ」と言っている。だから誰でも持っているし、誰もが自然にできるはずなのだ。

 

いま自国優先の考えの人が多い。独裁者や経済力を盾にした植民地主義も台頭している。新型コロナもなかなか終息しそうにないし、地球環境の問題も待ったなしだ。こんな困難な時代に立ち向かうために、大切なのは「仁」の精神だと強く思う。

 


 

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