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期間限定公開:matohu デザイナー リレー・エッセイ Vol.15 暮らしの粒

 

matohuでは、メールマガジン会員様へ、デザイナーリレーエッセイ”ちどりの足あと”を、不定期で配信しております。
デザイナーがコレクションに込めた思いや、毎日の出来事などに触れた特別なエッセイ。
matohu official HPで、8月16日(火)まで限定公開いたします。

 

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暮らしの粒

matohu 関口真希子

 

暑い日、アトリエ近くの蕎麦屋さんでお昼。
小鉢に冷えたところてんが給される。
その上にかかっているのは当然「黒蜜」だと、堺出身の堀畑は思っている。が、ここは東京。当然、「酢醤油、辛子添え」だ。
彼は途端に眉をひそめて「うぇ〜」となる。
私は、「葛切りに黒蜜は分かる。でもところてんに黒蜜は理解できない」。さらに言えば、私の育った辺りで「ところてんや」とは、身近な駄菓子屋のこと。店先で、水に浮かべた四角いところてんをお椀に突いてもらって、「青のりと酢醤油」で食べるのは、子供時代ちょっとした贅沢だったのだ。あっさり「黒蜜かけ」を容認しては、ところてんが甘味屋の一選択肢に落ちてしまう。
ということでひとしきり、お互いの主張に「うぇ〜」と、静かに熱く言い合うことになる。意外なところで気づく、異なる「当たり前」の可笑しさ。

 

 

もうひとつ高校時代のこと、よく親友の家に友達数人と泊まりがけで集まった。料理自慢のお母さんは手間を惜しまない夕食で、いつも私たちをもてなしてくれた。
あるとき頂いたお味噌汁に、ひそかに衝撃をうけた。(玉ねぎが入ってる!)。それまで玉ねぎの入ったお味噌汁に出会ったことがないのが、いま思えば不思議なのだが、本当に驚いたのだから仕方がない。しかも、美味しい! 以来、我が家でも定番化してもらった。意識しない身近なことほどカルチャーショックは大きい。

 

これらの日々の何気ないひとつひとつが、多様性の小さな粒なのだと思い至る。その粒々を集めて、自分らしく気持ち良い暮らしが実現し、淡々と続いていくこと。
「多様性」が話題になるとき、何か特別な変化を求められているように感じることがある。私たちはつい一様な、たとえば日本人の暮らし、同世代のライフスタイルなどというものがあるような感覚にとらわれている。
するとすべての人が平らに、多様性の中のひとり一人であることをうっかり忘れてしまう。「特殊な誰か」の生活を許容する、されるということではなく、ひとしく皆が、自分の暮らしを全うできるということがその本意だろう。

 

元より、一人ひとり思いも、言葉も装いも同じではない。同じはずもない。それぞれに安らかな暮らしが成り立ち、続いていくこと。そのための社会の在り方。それぞれの暮らしを構成する粒々は、きっと皆が思うよりずっとバラエティに富んでいるのだ。
その組合せパターンはさらに無限!ときどき、お互いそれに触れ合えば人生はもっと楽しく、豊かなものになっていくに違いない。

 


 

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